aalt inc.

yasuharu oishiAALT株式会社は、平成18年4月に発足した支援工学製品の導入支援及び運用支援活動から始まりました。

WEBアクセシビリティへの取組みが社会的に活性化している時期でした。プリントディスアビリティと呼ばれる印刷された文字情報では、情報取得が困難な人々における環境整備に取り組んでいる過程で、行政機関などのWEBアクセシビリティを確保するためのコンテンツ管理システムの導入が活発化する一方で、そのコンテンツを受け取る側の環境整備にいくつかの解決すべき課題がボトルネックとなっていました。


キートップの文字情報についての課題

例えば、視覚に障碍を持つ人々がWEBサイトを閲覧するために使うスクリーンリーダーの導入支援をする際には、先ずキーボードの表面に印字されている文字情報が存在していないために、FキーとJキーに設けられている凸をたよりに、このキーとの相対的位置から 全てのキーを識別するという課題に直面しました。

そこで、キーボードの表面に印字されている文字を、点字印刷に用いられている透明なUV樹脂インクで凸形状を形成し、透明のラベルシールとして、全ての種類のパソコンに適用し得るように開発に着手しました。


このコンテンツを受け取る側の環境整備に取組むうちに、より根源的ないくつかの課題が明らかになってきました。

行政に関する情報を平等に享受する権利の担保についての課題

行政が発行する広報誌を肉声で録音する音訳という取組みに際して、プリントディスアビリティを持つか否かに関わらず、平等に情報を享受するという参政権の基礎でありながら、ボランティア活動に委ねられ、ボランティア資源に限りがあるために、情報の平等性と完全性を保障できていないという課題に直面しました。

そこで、原稿段階でのデジタルな文字情報をText to Speechという合成音声によって音声ファイルを生成、Podcastによって頒布仕組みを開発しました。

服用している薬剤の情報についての課題

服用している薬剤を確認することで副作用発生を防止する「お薬手帳」について、ラベルシールに印字されている情報は、プリントディスアビリティを持つか否かに関わらず、むしろより活用の機会と効用がありながら、その効用を享受できないという課題に直面しました。また、症状が定着せず公共団体による福祉諸施策の対象とならない人々における情報保障という課題に直面しました。

そこで、医療機関のシステムに負荷を追加することなく、個人を特定する情報を持たない処方されている薬剤に限定した情報を、定着したプリントディスアビリティを持つか否かに関わらず全ての人々が活用享受できるシステムの開発に着手しました。

知への接点についての課題

プリントディスアビリティを持つ人々における情報保障という現代の社会制度の根本に関わる取組みでありながら、その重要性の程度の認識にかなりの違いがあるという根本的な課題に直面しました。併せて、インターネット上の書店からの購入や、インターネット上の情報提供が急速に拡充していることから、地理的に身近な実店舗の書店が減少傾向にあり、売れ行きが良く資本回転率の高い書籍の比率が高くなる傾向、インターネットへのアクセス環境や、地理的な移動手段が限られている人々において、知への接点が減少していく傾向があるという課題に直面しました。

そこで、通信キャリアや閲覧デバイスメーカーに縛られることなく享受でき、身近な実店舗でも購入できる電子書籍の流通販売システムの開発に着手しました。


現在の状況

これらの取組みは、多方面の御助力を賜りながら、それぞれ少しずつ形となってきています。プリントディスアビリティを伴う自身の症状の治療と発症により、途中に活動の停滞がありましたが、症状の解消に向けて真摯に取組んでくださる医療人との出会いのおかげで、症状の低減と発症時の対処法が掴めつつあり、体調が安定し、取組みの進捗が得られつつある状況です。

これらの課題と取組みは、一見すると多岐亡羊とも感じられる向きもあろうかと思いますが、これらを実現するに際して用いる情報処理技術としては、同一の資源を適用することで実現し得るものです。今後とも、地道に取組んで参る所存ですので、なにとぞ御力添えのほど、よろしくお願い申し上げます。

 

平成23年4月
大石康晴
AALT株式会社 代表取締役